「ヴェネツィア展」と「プレイ展」について

寒くなって参りましたが、皆さん元気にお過ごしでしょうか。ここの所、販売作品の情報ばかりでしたので、一つ、展覧会の感想を挟みたいと思います。

 

 先日、国立国際美術館で開催中の、「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展と「THE PLAY since 1967」展を鑑賞して参りました。

 まず、「ヴェネツィア展」の方ですが、こちらは西洋ルネサンス期に活躍したいわゆる「ヴェネツィア派」の絵画を中心に集めた展覧会の構成になっていました。ルネサンスというとどうしても、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの三大巨匠ばかりが日本では注目されがちですが、ベッリーニ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ等に代表される様なヴェネツィア派の絵画作品も充分な見ごたえがあります。

 普段あまりスポットライトが当たることの無い画家たちの作品ですが、精妙な筋肉の描写や当時の人々の表情を描いた肖像画には随所に見るべき所があり、私自身も勉強になりました。

 

 続いて「プレイ展」ですが、こちらは「ヴェネツィア展」の古典的芸術とはある意味対照的なハプニングやパフォーマンス的な現代芸術の作品を中心としています。

 芸術家集団「PLAY」の作品は以前にもこの美術館を訪れた際に何度か、映像や資料によって触れたことがあるのですが、大規模な展覧会として見るのは初めてだったので、少し楽しみにしていました。本来、美術館を飛び出た野外での「行為」が作品の肝となる「PLAY」の作品は美術館という「中」に納まることで縮こまってしまうのではないかと思いましたが、そんなことは無く、木材を組み合わせて塔を作り、雷の到来を待つという実験的作品の再現が成されていたりして、迫力がありました。

 「PLAY」の活動はハプニングというより(初期の作品にはハプニング的作品も見られる)、事前に「私達はこういう理由により、こういう事をやりますよ」というスタンスで参加者を募るので、急発生的というよりは寧ろ流動的な作品であると言えます。

 とにもかくにも、関西を中心に活動されてきた「PLAY」の大々的な展覧会をお目にかかる機会は少ないので、貴重な体験だったと思います。単に作品の意味が分かる、分からないではなく、自身の信念に基づいて行動された人々の足跡を辿る展覧会としては、お勧めです。

 

 

↑「雷の到来を待つ」作品の再現。ピラミッド式に木材を組み立て、その頂点に雷の誘導板を取り付けた作品。

↑発表当時のチラシ等関連資料展示風景。こうした資料が多く残されているのもこの「行為」を含めた作品の魅力。