伊藤若冲

 現在作品プランを幾つか練っていて、それらを実現させる為に公募・コンクールに応募したりしてるのですが、未だ実りは少なくという感じです。去年から現在に至るまで大々的に作品を発表する機会が殆ど無いので、期待されている方には申し訳ない気持ちになってしまうのですが、焦らず、熟考を重ねながら良い作品案を打ち出せればと思っています。公募展やコンクールの為に作品を発表するのでは無く、自分の考えを受け入れて頂ける場所を探すことが目標なので、それ自体には少し時間が掛かってしまうと思いますが…

 

 先日、伊藤若冲の作品に関する本を読みました。『若冲BOX  FIVE COLORS』という題の画集でしたが、赤・白・緑・灰・黒の五色のセクションごとに若冲の作品を分類し、解りやすい解説をつけ、若冲のことをあまり知らない僕でも読みやすい本になっていました。伊藤若冲は言わずと知れた江戸時代を代表する「奇想の絵師」ですが、僕自身は高校時代に美術の教科書で代表作の樹花鳥獣図屏風(様々な動物が描かれたモザイク画っぽい作品、と言えばわかりやすいかと思います)を見て、その時は「変わった描き方をする人だなぁ」という印象を持った程度でした。

 その後京都などで若冲の作品を直接目にする機会が何度かあったのですが、やはり若冲は大人気なので展覧会の度に長蛇の列が出来、一度として作品をゆっくり直に見るという機会は無かったと思います。なので僕が若冲の作品をイメージするときに思い浮かべるのはいつも図版や画像としてのものであり、そういう意味ではダヴィンチの「モナリザ」とかムンクの「叫び」みたいに、既に世間に定着した象徴的なものとしてのイメージが強かったように思います。

 なので今回、鮮やかな図版でじっくりと細部まで作品を見て、若冲作品の魅力を感じ取ることが出来たのではないかと思います。裏彩色や筋目描きの技法など、若冲ならではの描画方法を見て取ることが出来、色々と参考になる部分があったので、何か自分の中で活かすことが出来れば…と考えています。

 何にせよ色々な作品を見ることは目の保養にもなるので、作業の合間に出来るだけこういう時間を持ちたいと思う今日この頃でした…