地塗り材取扱い説明書

10日ぶりの更新となります。前回は作品の支持体についてあれこれ考えてみましたが、今回は基底材や絵具について考察を深めたいと思います。殆ど独り言の様なものなんですが、自分の中でもごちゃごちゃした考えを整理するために必要なことだと思うので、もし見ておられる方がいればしばし我慢ください。


 さて、私は絵を描くときにキャンバスを用いているので、基底材についてはそのキャンバスの地塗り材に依存することになります。市販のキャンバスは殆どのものが既に地塗りを施していて、ものにはよりますがそのまま絵具を塗り重ねられる仕様になっています。


 ここで気になるのが、そのキャンバスの地塗り材がどのようなものになっているか、ということです。市販のキャンバスにはアクリル・油絵兼用のもの、油絵専用のもの、細目・荒目などの表示はあるものの、その地塗り材がどのようなもので、どういった成分の素材が何パーセント含まれているかという記載はあまり見受けられません。確かにプロの画家でもない限りそういった表示があるかないかはあまり気にならないのかもしれません。また成分が分かったからと言っても実際に描いてみなければその描き心地はわかりません。「自分には合わないだろうな…」と思っていた素材でも使ってみれば「あれ?案外使いやすいかも…」と思うこともあるだろうし、その逆もまた然り。ものというのは実際に触れてみなければ相性はわからないのです。でも膨大な素材の量から自分に合った素材を見つけ出すというのは中々難しいので、そうなるとやっぱり手掛かりとなる情報は必要ですよね。絵を描くことも全くのノーリスクでなく、それなりにお金をかけて描くのですから、出来るだけリスクの低い方法で材料を選び出したいと思うのは制作者として当然の願望だと思います。


 とはいえ画材屋に行っても置いてあるキャンバスは海外製のものや、有名メーカーのもの、その画材店オリジナルのものとかがあったりして、仮に店員さんに「このキャンバスってどんな地塗り材使ってます?」と聞いたとしてもあまり判然としないことだろうと思います。どうしても気になるというならば、そのメーカーさんに聞いてみるのがいいのでしょうが、あまりそこまでする人はいません。有名なメーカーでは、地塗り材についてホームページで細かに記載している場合があるので、そういった情報を参考にされると良いかもしれません。



 まあ大抵の地塗り材は膠にムードンとかチタニウムホワイトといった材料を混ぜたものなので、そこまでメーカーごとに感触に違いは無いのかもしれませんが、自分の絵にそれなりの思いを込めて描く場合、その下地となる素材に気を配ることは決して損にはならないと思います。

 僕も今までなおざりに考えてしまいがちだったので、反省しつつ素材に向き合った描き方を心掛けてみたいと思います。


次回も基底材やら絵具について、もうちょっと考えてみます。