自分の時間

 毎日暑い日が続きますが、大阪でもここ数日急に雨が降ったり雷がなったりと、ちょっと不安定な空模様のようです。そんな中、本日は大阪国立国際美術館に行って参りました…

 この美術館は地下に展示室があるタイプの美術館で、展示は近現代の芸術作品が主であり、大学に入ってからはちょこちょこ足を運んだ所なので僕にとっては少し馴染みの場所であったりします。


 さて、本日は企画展が二つ、「ヴォルフガング・ティルマンス」展と「他人の時間」展が開催中でした。「他人の時間」展については東京都現代美術館で行われた巡回展で、実は4月に東京に行ったときに既にみておいたのですが、展示構成も変わっているし、何より新たな出品作家の方々を加えておられるようなので、新鮮な気持ちで作品を見ることができました。

 「他人の時間」は自分と他人の距離、或は両者を遮っている「壁」がどういったものであるのか、ということに焦点が向けられたもので、作家の方々は国籍、人種、政治関係などのあらゆる問題をテーマにし、その「壁」がどういった構造、素材であるのかということを各々の表現方法によって提示しています。

 私が気になったのはこの大阪展から出品されている加藤翼さんの映像作品でした。まだ展覧会を楽しみにしている人も居られるので、詳しくは言いませんが、とにかく「パワフルやな~」と感じる作品でした。映像自体というよりは、作品のプロジェクトそのものに衝撃を感じたのですが、少なくとも今回の展覧会の映像作品の中では骨太なタイプの作品でなかろうかと思います。QRコードを作品に用いており、「現代」の方法によって、壁を軽々と乗りえていく様な力を持った、魅力的な作品でした。

 展覧会全体的にはインスタレーション形式の作品が多く、その展示形態も面白いので、空間構成やインスタレーションを勉強したい!という方にもおススメの展覧会といえるのでないでしょうか。


 もう一つのヴォルフガング・ティルマンス展ですが、この方はドイツ出身の写真家で、有名なイギリスでのターナー賞やハッセルブラッド国際写真賞を受賞した、国内外での評価が高い作家さんです。その作品のテーマは特にジェンダーなどの社会的要素を取り込んだものが多く、記録としての写真でもなく、また単に絵画的な写真でもない、新しいタイプの写真家といえるのではないでしょうか。

 今回の展覧会も、写真一枚一枚をじっくり見ていくというよりは、そのカオス的展示空間を見ていくという感じでした。額装されていない作品も多く、いい意味で、より「生っぽい」感触の作品が多いように感じました。展示形態を見るだけでも「へ~」と勉強になることが多く、僕自身糧にしたいことが多いな、と感じる展覧会でした。


 連日暑い日が続きます。ゆっくりと芸術鑑賞をしたい、自分の時間を大切にしたい、或は他人との時間を共有したい、という方には是非お勧めの展覧会です。展覧会は9月23日まで開催予定とのことです。